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humus / 土の人

ダナ・ハラウェイの提唱する堆肥体に私もなりたい。友人の家で見たコンポストにはウジがわき、蟻が這い上がり、何か発酵した匂いがプンプンした。私達が生ゴミと呼んでいるような野菜の切れ端や卵の殻や魚などの死骸達の上に、目に見えない微生物たちも含め多くの命があった。そんな風にして、足元の土にも常に数えきれない程の生と死がある。私の身体の中にも無数の多種が蠢き、私はそれらを育て、それらに育てられている。どんなに無視をしたところで、多種の死や生に生かされている、その事実に私は救われた。

私は特段に山の近くに住んでいるわけではないが、時に森に入っては自分の内外の多種が交わるのを確認しに行く。そこでは社会的なカテゴリーを付与された「私」はすっかり取り払われて、私の中の多種と、森の中でざわめく小さな粒のような多種達が絡み合う。そしてまた、もしここで死んでしまったら私は肉となり土に溶けまた何かを生かすのである。

この社会で人間例外主義に晒されて逃げ場を失ってしまっても、私自身が多種を生かしそして生かされているということを忘れなければ営みを続けることができる。

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